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何のために勉強するのだろう?
何のために働くのだろう?
何のために生きているのだろう?
誰もが一度は考えることではないでしょうか。何のために狂言をしているのか? それは私にとっても一大関心事であり、永遠のテーマでもあります。
なぜ? 何のために? その答えを探すきっかけは、まず、世の中のあらゆることを見、聞き、知ることではないでしょうか。知ること、学ぶことはとても楽しいことだと思っています。
狂言の世界では、師匠(親)が弟子(子)に教える時、型を真似させることを繰り返します。それは動物が子に危険の避け方や狩りの仕方を教えるのと同じで、理屈ではなく、身をもって教え学ぶ関係です。そこには最初、個性の発露などはありません。ひたすら集中し、誤作動しないように繰り返す。コンピューターのプログラミングと一緒で、あまりそれ自体は面白くないかもしれません。しかし、ひとたび型を身につけ機能が増すと、表現の方法論は大きく広がります。その上にやっと個性があり、型や機能の組み合わせをさまざまにすることで表現の幅が広がり、自己発散、達成感は飛躍します。
表現するための教養(型・ソフト)、生きるための教養は、親が身を持って示し、それを真似させる。学ぶとは、“まねる”と同一の語です。一見、型にはめるのは没個性に見えますが、真っ白な子どもたちにはまず個性より前に、その個性を発するための機能(型)が必要です。
そんな伝統芸能の知恵を共有していただきたいと思っています。
あいち子ども芸術大学の講座は、さまざまな“なぜ?”の答えを探すのに、とてもよいきっかけとなることでしょう。子どもたちの未知なる可能性を、大きく広げるお手伝いができることは、私にとってもこの上なく嬉しく楽しいことです。
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1966年生。狂言師。野村万作の長男。祖父故6世野村万蔵及び父に師事。重要無形文化財総合指定者。東京藝術大学音楽学部卒業。「狂言ござる乃座」主宰。国内外の狂言・能公演はもとより、現代劇や映画の主演、古典の技法を駆使した作品の演出、NHK『にほんごであそぼ』に出演するなど幅広く活躍。94年に文化庁芸術家在外研修制度により渡英。芸術祭新人賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞、朝日舞台芸術賞、紀伊國屋演劇賞等を受賞。著書に『萬斎でござる』『MANSAI 解体新書』(朝日新聞社)、『狂言サイボーグ』(日本経済新聞社)、『狂言者三人三様・野村萬斎の巻』(岩波書店)等がある。世田谷パブリックシアター芸術監督。 |
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